仕事でも、スポーツでも、あるいは人生でも、戦略とか考え方があって、そこからどう行動すればよいのかが、見えてきます。
今回のサッカーW杯に関して、百年コンサルティング代表鈴木貴博さんの提言です。
考え方が参考になります。
まとめています。
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○PK戦は「運」ではない ?
・「戦略」とは“洞察”に基づいて既存の仕組みをスクラップして、自社ないしは自国が有利になるような枠組みを再構築するものです。
・まずは「洞察」の話 ・・・過去7大会での日本代表の試合成績は7勝6分12敗です。
単純計算ですが、引き分けになった試合数(6)を、勝った試合と引き分けになった試合の合計数(13)で割って確率を出してみます。すると、46%になります。
つまり、「日本がベスト8に進出できるかもしれない際、4割以上のケースでPK戦に勝たなければならない」と考えるべきではないでしょうか。これが、最初の洞察です。
日本の試合成績だけでは「サンプルが少ない」と思うかもしれません。ではW杯の決勝トーナメントのベスト16の試合を確認してみましょう。すると、過去3大会で24試合中PK戦は7試合と、やはり全体では約3割です。ちなみに、この数字については強豪国は勝ちで抜ける確率が高いので、チャレンジャーの立場である日本の場合は4~5割の確率でPK戦になる覚悟をすべきではないでしょうか。
ここから「日本がベスト8以上になるには、4割以上の確率でPK戦になる」と想定できます。「2026年以降のW杯に向けて、PK戦を日本代表の戦略上の重要なファクターの一つに格上げする必要がある」という戦略コンサルタントの洞察にもつながります。
○PK技術には向上の余地があるが 練習で“100%の再現”は難しい
・洞察の後、戦略コンサルタントは事実や関係者の話を広く集めます。
・「PKの練習が成果につながるわけではないところが難しい」という意見が多いのです。サッカーW杯の決勝トーナメントのあの局面で蹴るというプレッシャーは、練習では培うことができないという意見です。
・本田圭祐さんのツイートによると、「PKにも練習が必要。でもある程度の質に到達してからはメンタルゲームになる。これまでもどんなトップ選手でも大舞台で外してきた。それはあのプレッシャーを練習では作り込めないから」ということです。
・一方で、PKを決めるないしは止めるのには技術が存在するという意見も多く集まりました。
日本のPKを3本止めたクロアチアのGKリバコビッチは、その次のブラジル戦でも鉄壁の守りを見せ、PK戦でブラジルを撃破してみせました。リバコビッチの技術を詳しく解説したサッカーの専門家の記事を読む限り、「PKを止める側の技術もあるようだ」と説得されます。
・つまり日本代表が次のステージに行くためにはPKが重要であり、そのPKの技術は向上する余地があるけれども、練習ではこの問題の解決は非常に難しいことがわかります。
ここを突破するアイデアが必要なのです。
○3番目に戦略コンサルタントは「時間軸」で解決策を思考します。
・日本がW杯でベスト8に進出するカギは Jリーガーが握っている
・日本のサッカー界では「2050年までにW杯で優勝する」ことを目標に、サッカー日本代表の底上げのロードマップを構想しています。ベスト8に進出できるチームを作ることはその時間軸での現実的な目標だということになります。
・異論はあると思いますが、サッカー選手のピークの年齢は他のスポーツよりも若いうちに訪れます。
大会のヒーローは4年から8年で完全に世代交代します。
つまり現在のサッカー日本代表の大半は20代中盤の欧州組ですが、2026年大会、2030年大会では現在16歳から20代前半くらいの選手が台頭してくるはずです。
・戦略を練る際、あるターゲットにリソースを集中する必要があります。
26年大会、30年大会で日本代表を底上げする層を現在16~22歳のトップ選手と想定すれば、その大半は現在のJリーガーです。
つまり、「日本がW杯でベスト8に勝ち上がれない問題」の解決策は、Jリーガーにあるのです。
・そこで「JリーガーのPK戦での戦闘能力を高める」ための戦略を立案するという“解決のための方向性”を設定することができます。
・日本代表がW杯で勝ち進むための戦略を考えると、そこには二つの異なる戦略要素があることがわかります。
一つは日本代表の監督がチームのために考える独自の戦略や戦術、そしてもう一つが日本のサッカー界全体の底上げに関係する環境的な戦略です。
○『Jリーグ引き分け廃止戦略』で 日本は飛躍的に強くなる
・私の提言は、「サッカーJリーグのリーグ戦において引き分けを廃止して“PK戦決着制”を導入する」ことです。
・2022年11月時点のJ1リーグの状況を改めて分析してみましょう。
・合計306試合のうち勝敗がついた試合が209試合、引き分けが97試合です。つまり、全体の3割強の試合は“引き分けの勝ち点1”で決着しています。
仮に、このすべての引き分け試合を延長戦は行わずにPK戦で決着させたらどうなるでしょう。
・勝ち点ルールを変更して、90分間での勝利は3点、敗北は0点、さらに引き分け後のPK戦勝利は勝ち点2、敗北は勝ち点1とするイメージです。
そうなるとPK戦がJリーグの順位を左右する重要な要素となります。
・競争優位というものは、累積経験量で決まります。
他の国のリーグ戦ではPKを蹴る機会が極端に少ない中、JリーグだけPK戦決着制を導入したとしましょう。単純計算で年間100試合程度のPK戦が行われ、各試合で10人のキッカーがガチのPK勝負を経験することになります。年間延べ1000人が真剣勝負のPK戦を経験する計算です。
・メンタルが日本代表のPK力向上の鍵とすれば、そのメンタルを鍛える場がここで誕生します。 ・・PK戦が重要事項になれば、GK(ゴールキーパー)の起用についても進化が起きます。サッカー日本代表の正GKはシュートを止めるのがうまい選手よりも、守備陣の指揮がうまい選手の方が重要です。シュートを打たせないことの重要性が高いのです。 でも、2026年以降は延長線後半に限ってはPKを止めるのがうまいGKへの交代を検討したほうがいいかもしれません。
・もしPK戦決着制が定着すればJリーガーの中でPK特化の尺度で見た場合、誰が一番うまいGKかもわかるようになります。
・重要なことは、この制度の下で18チームの監督がそれぞれ真剣にPK戦の戦術を考え始め、ひとりひとりの選手が無数の発見をして、Jリーグ全体のPK戦のノウハウが技術、メンタルともに大幅に底上げされることです。
しん研良院 奈良県香芝市のカイロプラクティック
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