胃がんの手術で胃を切除した場合、
その後十分な胃酸での消化が行われないため、
各種のトラブルが生じます。
胃切除術後障害について。
胃切除後障害…胃切除術後に様々な胃機能が失われることにより生じる障害。胃が小さ
くなることや迷走神経切除や内分泌機能の低下による消化管の協調不全といった総
合的な問題がある
小胃症状…胃が小さくなることにより生じる症状。胃切除術によって胃の容積が小さ
くなると,食事を少量摂取しただけで,満腹感を感じる~ある程度食べると,心窩部の辺りに膨満感を感じ,左肩痛や悪心などが現れる
消化、吸収不良 …胃酸および消化酵素の分泌減少と消化機能の低下が原因でおこる。胃酸が減少することにより,消化酵素の活性化にも影響を及ぼす。手術による迷走神経の切除が原因で消化管運動が低下し,消化管ホルモンの分泌が変化する。消化が不十分のまま食物が小腸に流れ込むと下痢を起こす。
ダンピング症候群 (dumping syndrome) …胃を切除すると,胃液分泌量の低下と貯留機能の破綻により,浸透圧の高い食べ物が腸内に急速に排出される。
早期ダンピング症候群:食後 30 分前後で起こる。通常よりも濃い食物が急に小腸に流れ,浸透圧で体の水分が腸の中に逃げることが原因。一時的に血液が減少したのと同じ状態になる。
○症状…動悸,立ちくらみ,めまい,悪心
後期ダンピング症候群:食後 2~3 時間で起こる。一過性の高血糖でインシュリンが過剰に分泌されることで,その後に低血糖を引き起こす。
○症状…発汗,疲労感,立ちくらみ,めまい
●1 時間以上かけてゆっくり食事を摂り,少量ずつ一日 5回程度に増やすことで改善できることもある。
貧血…胃を切除すると,壁細胞から分泌される内因子が減少し,ビタミン B12 の吸収が阻害されるため,巨赤芽球性貧血を引き起こす。胃酸の分泌が減少すると鉄の吸収に必要なイオン化が阻害され, 鉄欠乏性貧血が生じる。
●予防的にビタミン B12 の注射や鉄剤の経口投与
骨障害…胃酸の減少や小腸の細菌叢の変化によって,カルシウムが吸収されにくくなる。脂肪の吸収障害によりビタミン D が低下して骨基質へのカルシウムの沈着が障害されるため骨塩量の低下をきたし骨粗鬆症につながる。
●牛乳のカルシウムは吸収されやすいが,胃切除後の小腸粘膜は乳糖分解酵素が欠乏しており,乳糖不耐症による下痢などの症状に注意が必要
輸入脚症候群…胃切除術後の術式によって、輸入脚(盲端となる十二指腸の部分)の部分に溜まった胆汁が逆流し,嘔吐を引き起こしたり,輸入脚の中で増えた腸内細菌が栄養素を消費し,胆汁を分解し栄養素の吸収を阻害
胆石症…胃切除術を行う時に,迷走神経を切除してしまうことで胆嚢の運動が低下し,術後に胆石を生じることがある。胃切除を受けた人の20%ぐらいに胆石がみられ,平均術後1~2年で発症する人もいる。
逆流性食道炎…噴門の機能が低下することで胃液が食道に逆流し,炎症を引き起こす。胃を全摘出した場合は胃酸の逆流ではなく,胆汁と膵液の逆流が問題となる。
残胃胃炎・残胃癌…残胃に炎症が生じるもので,胆汁や膵液を含む十二指腸液の胃への逆流が原因とされる。萎縮性胃炎や腸上皮化生に変化することが多く,徐々に慢性化していく。残胃炎が注目されるのは萎縮性胃炎と腸上皮化生が癌の発生母地となると考えられているため。
しん研良院 奈良県香芝市のカイロプラクティック
原因のよくわからない痛みや不調に対処する施術院
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