実は多くの方の体調不良の背景に消化の問題があります。
腹痛や便秘下痢だけでなく、腰痛肩こり、ひざ痛も、考察をしていくとどうも消化の問題に行き着くことが多い。
で、消化に関してですがメインは胃を考えます。
その胃を調べる方法の一つとして、血中のペプシノーゲン値があります。
これについて、吉田歯科診察室のブログより。
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私たちのところでは、初回の血液検査では必ずペプシノーゲンというものを測らせてもらっています。
その前に、ペプシンて聞いた事ありませんか?胃から出る消化液、簡単に言うと強酸です。ペプシンは胃の中でタンパク質を分解し、小腸から吸収しやすい形に変える役割をしています。したがってペプシンが少なければ消化不良でせっかく食べたものも吸収されず、無駄になってしまいます。それどころか、後で書くように悪影響が出てしまいます。
このペプシンが胃にちゃんと出ているかどうかを直接測るのはちょっと面倒なのですが、血液中のペプシノーゲンというものを測るとだいたい状態が解ります。ペプシノーゲンは胃で造られ、その99%はペプシンに変換され、残りは血液中に入りますので、採血して測定する事ができます。
ペプシノーゲンにはIとIIがあり、Iは胃底腺というところから、IIは噴門とか幽門ということろから分泌されます。Iが70以上あるとペプシンの分泌は十分と判断され、またIはIIの3倍以上が良いとされています。この事から、以下のように推察します。
1・Iが70以上 I/IIが3以上 → 問題なし
2・Iが70未満 I/IIが3未満 → ちょっと心配
3・Iが50未満 I/IIが3未満 → かなり心配
4・Iが30未満 I/IIが2未満 → すごい心配
胃が炎症を起こし萎縮してくると、この値が悪くなって行きます。胃癌の検診に良く用いられるのはそのためで、4のような状態の方は直ちに胃カメラでの診断が必要です。
また胃癌の原因とも言われるピロリ菌がいると萎縮が進むので、ペプシノーゲンの値が悪くなってきます。ですからこの検査と同時にピロリ菌がいるかどうかの検査も同時に行っています(抗ヘリコバクターピロリIgG検査と言います)。
さて私たちのところでペプシノーゲンを測ってみた結果ですが、実はIが70以上の方は未だに一人もおられません。
50以下の方も半数で、ピロリ菌検査で陽性になった方も多数おられます。私たちのところには特に胃症状がある患者さんが集まるわけではないので、一見正常な人であっても胃酸の量がたいへん少ない人がかなり多いと推察されます。
さてそうすると、消化吸収不良はほとんどの方に起きていると予想します。また胃の調子が悪いからといって、自己判断で胃薬(胃酸抑制剤)を使っている人はかなり危険です。
ペプシノーゲン値が悪い方は、総蛋白やアルブミンの値が悪い方が多く、これは歯肉や骨の治りの良し悪しに直接響きます。つまり歯周病治療やインプラントの維持の指標にはとても重要だと考えています。
解決策はと言えば、胃酸を増やすためにその原材料を増やすという事が考えられます。ところがその原材料とはタンパク質です。胃酸が少ないところにただタンパク質を増やしては、また消化不良で逆効果です。補助として消化酵素剤を適宜使う必要がありますが、それに頼るのではなく最終的には胃酸が出る体質に戻す必要があります。したがってビタミンやミネラルのバランスを是正してゆく必要があります。
一つよい改善策があります。それは「良く噛む」ことです。良く噛めば食物は細断され、胃酸との接触機会が増えます。つまりタンパク質の分解効率はアップ、そのまま小腸での吸収効率もアップ、これはお手軽です!
なのに現代人は一般に噛む回数が少なすぎます。それでもたいした自覚症状がでないのも、現代人が楽な生活環境を手にしているからです。しかし実は体は悲鳴をあげています。体の中の多くの化学反応(代謝って言います)が滞り、不定愁訴を連発します。このような状態で手術に入るのは、やはりどうかと思います。
さて私自身が栄養医学療法を適用する前のペプシノーゲンの値は、Iが58,4・I/IIが4.9で、上記の判定1と2の間でした。その後人生初めて胃カメラを飲んでみましたが、結果はキレイな胃粘膜で問題なしでした。今はタンパク質とビタミンB群を多くした食生活なので、いくらかは改善しているのではないかと思います。
ペプシノーゲン検査は最近では胃癌検診で頻繁に行われるようになり、バリウムを飲んでレントゲンというのは少なくなってきたようです。健康保険では測れませんが、自分で測るキットも売られており、手軽に胃の状態を把握できる時代になりました(かなり高額ですが…)。ただしその値には個人差が大きいことも忘れてはなりません。
一般に東洋人は、欧米人と比べて胃酸が弱いという話を聞いた事があります。そうでなくても飽食の時代でバランスが崩れ、ストレスで胃がやられ、隠れ栄養失調が蔓延している時代です。食材を選び、良く噛むこと、そのためにもきちんと噛める歯を維持することが重要だと言えますね。
ちなみにペプシコーラの語源は、ペプシンなのだそうです。消化剤を主原料としていたそうですが、今はどうなんでしょうね?
しん研良院 奈良県香芝市のカイロプラクティック
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