腰下肢痛へのアプローチ
腰椎、椎間板、脊柱管、仙腸関節の問題
腰下肢痛の症状
- 腰まわりの痛み・しびれ~背骨の根元、骨盤の左右や真ん中
- 下半身の痛み・しびれ~お尻、太もも、膝から下の痛み・しびれ
- その他~尾骨の痛み、会陰のしびれ感、骨盤内に広がる痛み
腰下肢痛の考え方と施術ポイント
レントゲンやMRIでは見えない部分にも、痛みの原因がある。
- 筋肉や末梢の神経にトラブルのある事が多い
- そのトラブルを引き起こす背景は、「腹部における腹膜系の柔軟性低下⇒血液やリンパの循環不良⇒筋肉の硬縮~骨格系のゆがみ~さらなる筋肉の緊張」といったことが考えられます。
- ですので、背中側だけでなくおなか側の施術が必要になります。もし盲腸(虫垂炎)その他の手術をされたことがおありならば、なおさらです。
- よくあるのは体を反らすと痛みが片側のお尻や太もも後ろに強く出るケースです。
⇒この場合、腰椎4,5番の傾きやねじれといったゆがみがあります。
⇒あるいは、仙骨の傾きなどのゆがみも考えられます。
※しん研良院では、これらに対する非常によい施術技術を持っています。お一人お一人に合った施術を組み立てて、痛みを取り除いていくことが出来ます。ぜひご相談ください。
実際の対処法において
痛い部分へマッサージしても解決しない
痛いところは、過剰な負担のかかっているところ。
本当の原因場所は、負担をかけているところ、働きが悪く・弱くなっているところです。
ここには痛みが出ていないものです。
そのような場所を正確に探す必要があります。
薬に頼りっぱなしでは、いけない
痛みを止めてしまうと、本来できない動作もできてしまうため余計に組織を傷めるかもしれません。
痛みの出る体の異常状態を修正する必要がありますが、これは薬が行ってくれるものではありません。
本質的な体の問題個所を探して、適切に対処する必要があります。
やや専門的な痛みの原因や施術方法について
当院で考える坐骨神経痛の原因は、筋緊張や循環不良による拘縮です。
もともとあった腰痛などの痛みに対する反射性の筋緊張によって、筋拘縮(神経性拘縮)が起こります。
この神経性の拘縮を放置していると、毛細血管やリンパなどの阻血性(循環性)の拘縮が起こります。
MRIを撮って、椎間板ヘルニアや脊柱管狭窄症の見つかることは多いですが、拘縮の原因を見つけて施術すれば痛みの改善が出来ることが多いです。
この場合、ヘルニアや狭窄は拘縮の主要な原因になっていないと考えられます。
実際には、ヘルニアが少しも小さくなっていないのに手技療法で痛みの改善が出来るケースがたびたび出てきます。
しん研良院における施術ポイント
- 骨盤や腰椎・・・仙腸関節、腰仙関節、腰椎4番・5番その他の椎間関節や椎間孔の問題に対して
- 坐骨神経など・・・末梢神経そのものの筋肉の中でのすべりの悪さを手技的に改善させる
- 拘縮した筋肉・・・腰方形筋や梨状筋、中殿筋、腹横筋などの異常を修正し拘縮状態を改善させる
- 腹部・・・腸間膜や腎臓周辺などにおける循環障害の起こりやすいゾーンを触診・施療する
- 坐骨神経痛様の関連痛を出す各種筋肉・・・小殿筋などのトリガーポイントの施術
このようなケースは、お任せください。大丈夫です
腰~お尻~太もも後(外側)~ふくらはぎに激痛
- 坐骨神経痛の典型的なケース
- 痛みどめに頼り過ぎると無理な動きも出来てしまうため、余計悪化することもある。
- 痛みどめが全く効かないこともある。
よくある痛みの原因
- L5(第5腰神経)やS1(第1仙骨神経)の障害・・・椎間板、脊柱管、椎間孔などでのトラブル
- 梨状筋などの末梢での神経絞扼
- 小殿筋などのトリガーポイント
前に体を曲げると、お尻から太ももの裏に激痛
- 30~50代あたりで多い坐骨神経痛のケース
- 病院では、多くの場合、椎間板ヘルニアの診断がついている事が多い
- 各種の鑑別検査をして本当に痛みの元になっている場所を特定する必要がある。
よくある痛みの原因
- 仙腸関節捻挫
- 梨状筋症候群
- 椎間板ヘルニア
体を後ろに反らすと、足腰に痛み
- 55歳以上の方が訴える典型的な坐骨神経痛の症状
- 高齢の方の場合、病院で脊柱管狭窄症の診断が出ている事が多い
- 30~40代の方でも、このタイプの痛みが出ることがある
よくある痛みの原因
- 椎間孔のトラブル
- 30~40代の方では、椎間関節の問題もある
- 50代以上では、脊柱管のトラブルが多くなる
- 梨状筋や小殿筋の拘縮など
数分も歩いていると、しゃがみ込んでしまう(間欠性跛行)
- 高齢者に多い間欠性跛行。
- 自転車や押し車だと楽なことが多い。
よくある痛みの原因
- 病院では脊柱管狭窄症の診断が出るが、下部腰椎のアライメント不良を整えると改善するこが多い
足裏の違和感や痛み
- 高齢の方に多い訴え
よくある原因
- L4やL5、S1の神経の障害
- 足根管などの末梢神経の絞扼障害
施術例
改善された方のご厚意により、写真撮影などの許可をいただきました。
同じような症状でお困りの方にとって、ひとつの目安や判断材料になればと思います。
間欠性跛行を伴う下肢痛
67歳男性(香芝市)
2015年1月
病院の受診
- 腰部脊柱管狭窄症と椎間板ヘルニア
- 治療は腰の牽引と薬剤
現病歴
- 15年前からの腰痛が続く。
- 現在は5分も歩くと、しばらくしゃがんで休まないと歩けない(間欠性跛行)
- 体を反らすと左腰に痛みが増悪
- 前かがみになると痛みがマシになる。寝るときはえびのように丸くなるが、朝起きるととても腰が痛い
- 痛い場所は左の腰や臀部。左下肢にしびれの出る時もある。
病院で牽引と薬の治療を受けているが効かないので、さらに強い薬を処方してもらったが、それも効かない。
次はブロック注射を予定していて、もしそれも効かなければ手術の予定。
施術
初回の施術(2014年 9月30日):
- 左腰方形筋と大腰筋を弛める施術~左腎や下行・S状結腸などの内臓の施術とともに
- 腰椎4番の矯正
- 仙腸関節
- 第4,5肋骨の可動域調整
2回目来院時(10月10日):
- 「痛みが割と減って、5分歩いていたかったのが、10分歩けるようになった
3回目来院時(10月21日):
- 「朝、腰や骨盤まわりにどーんとした痛みが出るのがつらい」
- 「10分歩くと左腰に痛みが出て、しゃがむと痛みが減る」
- 施術は頸椎1,2,6番と胸腰移行部の矯正。内臓の膜の施療。
- 寝る時の寝具に問題がありそうだっためアドバイスを伝える。
4回目来院時(11月4日):
- 「10分が20分歩けるようになった。痛みが半減している。朝の腰痛が楽になった」
- 施術~右踵骨内反を矯正。右股関節の矯正。胸椎9~12番の矯正。
6回目来院時(12月11日):
- 「調子よくいくらでも歩けます。痛みはほとんどないです」
7回目来院時(今年1月14日)
- 「調子よいです。30分歩いても痛くない」
交通事故後、足の力が入らない
40歳代(香芝市)
2013年7月19日
訴え
- 2年前に交通事故に遭った
- MRIで、頸椎4番、5番、6番に椎間板ヘルニア
- 手腕に力が入らない。握力の低下。数キロのものが持てない。
- 足に力が入りにくい。杖が必要。
- 「2年間、リハビリなどの治療をしていますが、改善する兆しが見えません」
検査と施術、結果
足の母趾背屈力は、左右とも本来の1割ぐらいの力を出すのがやっとの状態
腰椎のマッケンジーをして、母趾背屈力の変化を調べる。
施術2回目 | 右足母趾3割増しの強さに、左足母趾2割増しの強さに。 |
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施術3回目 | 左右とも本来の半分ぐらいと思われる力が出るようになりました。 |
施術4回目 | 「車のパーキングブレーキが3つ目まで踏み込めるようになりました♪」の報告 |
施術5回目 | 左右とも8割ぐらいの力が出るようになりました。 |
施術6回目 | 右足は「これが本来の力」と思えるぐらいに回復。左は9割ぐらいまで回復。 |
頸椎のマッケンジー
施術4回目 | 握力右18.4㌔、左16.9㌔ |
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施術5回目 | 握力右22.8㌔、左23.2㌔~今までにできなかったつま先立ちなどが出来る |
脊髄終糸の施療~股関節屈曲の力がアップし歩きやすくなる
朝にひどく痛む坐骨神経痛
幼稚園勤務、30歳代(香芝)
2013年4月13日
訴え
- 朝起きてしばらく、骨盤回り、お尻~太もも・ひざの後ろに激痛
- 痛みのため靴下もはけない
- 「もともと腰痛持ちで、病院で撮ったレントゲンでは腰椎5番_仙骨が狭かった」
施術内容
- マッケンジーとフレクションの組み合わせ
- 腰椎と仙骨に対する調整
- 坐骨神経のマニピュレーション
結果
施術3回目から7日後 …「今週はとても楽で、ずっと痛みが出ていません」
ノートと考察
- このコーナーは、考察や各種情報をノートとして不定期に書き加えているものです。
- 私自身の記憶の整理用のノートですので、考えるヒント程度にお読みください。
- 「~だ」のような断定的な表現もありますが、あくまでもここに書いているのは考え方の一例に過ぎません。
- より良い情報が見つかるたびに、訂正や追加を加えます。
- 疑問点などのご指摘をくださる方があれば幸いです。
坐骨神痛とは、坐骨神経領域であるお尻から太ももの後ろ側、ふくらはぎ、足底などにしびれや痛みの出ている症状を総称したもの。
整形外科的には、次のような原因疾患を想定している。
- 脊柱管狭窄症
- 椎間板ヘルニア
- すべり症
- 梨状筋症候群など
しかし、手技的にはそういった画像所見を主に考えるのではなく、筋緊張による神経性拘縮や循環性の拘縮を起こすそれ以外の原因を見つけて施術することで、痛みの改善を出すことが多い。
手技によるアプローチ方法…拘縮状態を解消する施療を行う。
骨格 | 骨盤や腰椎の変位の矯正 |
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末梢神経 | 坐骨神経などに対してのマニピュレーション |
腹部 | 腸間膜や腎臓周辺などの循環障害の起こりやすい場所のマニピュレーション |
筋肉 | 硬縮を起こしている筋肉への施術 |
リンパドレナージ | 循環障害に対しての手技 |
中枢神経系 | 硬膜や脊柱管内部の循環性の拘縮に対しての施術 |
参考
Ⅹ線、MRIなどについて
- 軟骨や靭帯は一般的にX線CTで評価できないので、椎間板ヘルニアや靭帯損傷、肉離れ、半月板損傷などの骨以外の運動器の異常の評価にはMRIが有用。
- MRIのT1強調画像・・・高信号(白く映し出されるもの)は、脂肪や亜急性期の出血、銅や鉄の沈着物、メラニン。低信号(黒)は、水、血液など。
- MRIのT2強調画像・・・高信号(白)は、水7や血液、脂肪など。低信号(黒)は、出血、石灰化、線維組織、メラニンなど。
- 画像の度合いと痛みの度合いが一致しないことがある。たとえば、Ⅹ線やMRIでは、かなりの変性があっても、痛みはそれほどでもなかったりすることがある。また、その逆もある。
→これは、画像に出ている椎間板ヘルニアその他が痛みと相関関係をなしていないことの表れだと考えられる。
→痛みは、それ以外の要素も大いに原因になっている。
徒手検査
神経学検査や整形学検査などの徒手検査を行い、痛みやしびれの原因を調べる。
- 母趾背屈力
- デルマトーム
- SLR、ケンプテスト、バルサルバなど
考察と情報
- 臀部(お尻)の深層部で神経や血管が絞扼(圧迫)されているケースなので、病院ではあまり検査対象にされていない。
→レントゲンやMRIなどの画像では評価できないため - 骨盤のゆがみや体の使い方の問題もあるが、椎間板ヘルニアや内腸骨動脈の圧迫が遠因となるケースもあるかもしれない。
- 椎間板ヘルニアの手術をしたが痛みの改善のない人に、梨状筋の施術をして痛みの消失の出るケースがある。
整形外科的な知識
- 梨状筋の緊張亢進⇒神経(上・下臀神経、坐骨神経)や血管の絞扼⇒臀部から大腿後面に放散痛が生じる
- 梨状筋と坐骨神経の位置関係には個体差がかなりある→筋腹を通過するケースで絞扼を受けやすい?
ア:坐骨神経が梨状筋を貫通するケース
イ:坐骨神経が二分(脛骨神経成分と総腓骨神経成分)し、双方の神経成分が梨状筋をまたいで走行するケース
ウ:坐骨神経が二分し、総腓骨神経成分だけが、梨状筋を貫通するケース
エ:坐骨神経が梨状筋上孔を通過するケース - 梨状筋の下には上下双子筋と内閉鎖筋があり、これらも絞扼因子になりうる。
→いずれも股関節外旋筋である
→梨状筋症候群は、股関節外旋筋の筋緊張亢進で坐骨神経が絞扼された状態とも考えられる
坐骨神経がお尻の梨状筋の下から抜けています。
なりやすい人
坐骨神経がお尻の梨状筋の下から抜けています。
- 立ち仕事でどちらかの脚に力を掛ける人
- 3割ぐらいの人は、梨状筋の中を坐骨神経が通過。
- 股関節疾患のある人、脚を組む方人~脊柱のゆがみ
- 腹部に問題のある人、たとえば手術後の癒着のある人。
- 大殿筋の弱化
- 仙腸関節の可動性亢進
施術例
- 梨状筋の調整
- 癒着した坐骨神経のマニピュレーション
- 骨格の矯正
- 内臓の施術
中殿筋や小殿筋の異常で、腰痛や坐骨神経痛様の症状が出る。
小殿筋のトリガーポイント
- 小殿筋のトリガーポイント(硬縮)は、坐骨神経痛様の痛み。
- L5やS1の神経圧迫、転子滑液包炎などと診断されていることもある。
- 小殿筋のトリガーポイントは、持続性があり、深刻になることが多い。
中殿筋のトリガーポイント
- 坐骨神経痛様の関連痛を出す。
- 股関節の痛みにつながることもある。
考察
これらの筋肉の明らかな酷使があれば、筋肉に対する施術だけで症状の改善がみられる。しかし、特にそのような酷使の無い場合、内臓その他の関連を追っていかなければならない。
- 第5腰神経…椎間孔を出た後、腸腰靱帯と仙骨上部からなるトンネルを通り下方に走行
- L5はL4と連絡し、腰仙骨神経幹を作る。
- 坐骨神経などに痛みが出る。
施術
- 腸腰靭帯や下部腰椎など変位の矯正
考察
手技的に骨の変形は直しようがないのが、変形が見られるにせよ、痛みの原因は別のところにあるケースもあり、手技的に痛みを改善できるケースも多い。
整形外科的な知識
- 腰下肢痛が現れる
- 老化に伴う腰椎の変性…椎体に突起物ができて椎間板や椎間関節が変形し神経根を圧迫。
- 男性に多い
- 変形性腰椎症は、腰部脊柱管狭窄症の原因となる。
症状
- 胸椎や腰椎の変形では、徐々に背中や腰の痛みが発生。足のしびれ感や強い神経痛症状を出すこともある。
- 運動時の痛み
- 脊椎に運動制限が出る・・・体の前屈や回旋動作がしにくくなる
- 起床時や同じ姿勢をとると痛みの増悪
- 脊柱管狭窄症の場合、間欠性跛行が現れる
原因
- 主に椎間板変性に伴う骨棘形成や椎間関節の変性
- 加齢による背骨の変化
- 長時間同じ姿勢を取るような職業
- 過度のスポーツ