肩こり/ 肩痛
肩こり・首の痛み施術ポイント
①胸郭の動き~呼吸器系
⇒肩こりの方に胸式呼吸で深呼吸してもらうと、小さく不自然な感じになります。つまり、胸郭の動き方に問題があります。この場合、胸椎・ろっ骨などの動き方を改善すれば、首肩の緊張が抜けます。
②小腸や胃などの消化器系
⇒消化器系の疲れから背中、肩、首と緊張を作っているケースもあります。内臓系にアプローチして、自然に首肩の筋をゆるませる方法をとります。
※いずれのケースも、こっている首肩をもんでもすぐ元に戻ります。こっている原因の方に手を加える必要があります。
③腋(わき)の奥
⇒肩こり筋といわれる僧帽筋や肩甲挙筋のコリは肩甲骨の動きと関係があります。多くの場合、腋(わき)周辺の筋肉がとても硬くなっています。
④横隔膜
⇒横隔膜に問題のある場合は、首肩と同時に腰痛も伴うことが多くなります。~横隔膜ドームの解放、横隔神経へのアプローチ、大腰筋との筋膜の連鎖、ゲノード・ミュッシー点
⑤手指のゆがみ
⇒手指~肘~肩~首と筋・筋膜が連鎖しています。
⑥骨盤のゆがみ
⇒背骨の土台は骨盤で、ここのゆがみは腰はもちろん、肩首にも波及します。
⇒骨盤のゆがみだけではなしに、そのゆがみの背景にある過去のケガや病歴(捻挫歴による足首の硬さや手術歴や便秘等による腹膜の柔軟性低下など)によってつくられた不自然な硬さなども直します。
※コリや痛みを感じるところは犠牲になっている、言わば「働きすぎのところ」。施術は「働かずにサボっているところ(機能低下部分)」に行います。この部分が、リラクゼーションの施術としん研良院の施術と大きく異なるところです。
交通事故などのケガのある場合は、繊細な施療を行います。
⇒首(頸椎)に触れずに、首の矯正が可能だったりします。
⇒強くゴキッとしなくても、呼吸相だけですーっと矯正をかけられたりします。
25歳~55歳女性の主な訴え
手が痛くて、上げられません
後ろに手を回せません。エプロンのひもも結べません
五十肩(四十肩)。関節包や筋肉の硬縮、肩まわりの骨格のゆがみ。
肩の前が痛いです
上腕二頭筋長頭腱の炎症。ラケットを使うスポーツや投げるスポーツをする人に多い。
肩こりがひどく、もんでも改善しません
さまざまな原因があります。ひとりひとり原因が異なりますので、単に患部をマッサージしても改善しないのが普通です。
肩甲骨の内側が痛くなって、肩や腕も痛むときがあります
頸椎のゆがみ~神経の問題や特定の筋肉の硬縮があったりします。
洗濯物を干すときに、首や肩に変な痛みが出ます
頸椎における神経の異常状態がないか徒手検査します
肩から腕にかけて、痛みが出ます
ムチウチ経験者の椎間板ヘルニア(頚椎5番や6番)など。
首を反らすと、首が痛いです
頸椎の椎間関節というところの問題が考えられ、手技で回復しやすい。
肩甲骨の内側上部の角から後頭部にかけて痛いです
肩甲挙筋、頭最長筋、頸半棘筋、頭板状筋など
後頭部の付け根がこって、気持ち悪いです
頚椎の可動域が低下。後頭下筋群の硬縮。
首を真横に向けられません
寝違い、頸椎の可動域の低下など
首を前に曲げると、肩や腕に痛みやしびれが出ます
椎間板に問題のある可能性
首を動かすと、しびれが肩から腕に走ります
頚椎の変性が考えられます
施術例
改善された方のご厚意により、写真撮影などの許可をいただきました。
同じような症状でお困りの方にとって、ひとつの目安や判断材料になればと思います。
テニスによる肩痛
製造会社、70歳(大阪府南河内郡)
2012年6月
- テニス中、サーブでスピンをかけていたら急に肩に激痛。
- 右肩があがらない
施術と経過
肩周りの筋骨格の施術。
自宅でのアイソメトリックトレーニングの方法をお伝え。
ひと月後・・・可動域改善。痛み減少。
肩の調整
高校生・野球部(奈良県)
2012年4月
- 姿勢の悪さが気になる。左右の肩の高さが違って顔もやや傾いている。
- 肩や腰の可動域の調整を希望
施術
- 第一肋骨、骨盤、頸椎と胸椎、股関節に対して
- 関連する筋肉の調整・・・棘下筋、棘上筋など肩の筋肉、腰方形筋など腰部の筋肉、小胸筋など
結果
- 施術後のピッチングで、「体重がうまく乗って今までにない速い球が投げられている」
肩こり、肩甲骨周辺の痛み
接客業・20代女性(橿原市)
2010年5月
- かなり前から、肩こりと背中の痛み。
- 親指から薬指にかけて、手を反らしたときにしびれが出る。
施術
- 骨盤(仙骨)の矯正
- 頚椎や胸椎の調整
- 腕神経叢の操作、円回内筋の施術など
結果
1回目:背中の痛み8割ぐらい改善。手のしびれが消失。
3回目(3週間後):背中の痛みや肩こりがなくなっている。
ノートと考察
- このコーナーは、考察や各種情報をノートとして不定期に書き加えているものです。
- 私自身の記憶の整理用のノートですので、考えるヒント程度にお読みください。
- 「~だ」のような断定的な表現もありますが、あくまでもここに書いているのは考え方の一例に過ぎません。
- より良い情報が見つかるたびに、訂正や追加を加えます。
- 疑問点などのご指摘をくださる方があれば幸いです。
腱板の筋機能 | ローテータカフ:棘上筋、棘下筋、肩甲下筋、小円筋 |
---|---|
棘上筋 | 昔は外転作用⇒最近は内旋・屈曲作用があるとの研究も。MRIの骨頭断裂は棘下筋の可能性も。 |
棘下筋 | 働き方の度合い;90度外転位での外旋>下垂位の外旋 ※上腕骨頭を引き下げつつ、拳上作用 |
肩甲下筋 | 内旋作用。上部線維は上腕骨頭引き下げ作用。 |
小円筋 | 下垂位で外旋作用。外転位で内転作用。 |
三角筋 | 拘縮があれば、肩甲上腕リズムに影響~インピンジメントを誘発 |
烏口上腕靭帯 | 拘縮があると外旋制限 |
小胸筋 | 烏口突起だけでなく、烏口上腕靭帯を介して大結節あたりに付着 |
菱形筋 | 肩甲骨の動きで肩甲間部痛が誘発⇔頸椎疾患との鑑別 |
関節包 | 肩甲上腕関節20~30度(上肢拳上45度前後)で、関節包の張力が均一化 |
首から肩にかけての、こわばった感じや不快感・こり感・重苦しさや痛みの総称。
頸肩腕症候群の初期症状といえるケースを含む。
原因
姿勢の問題
頭や腕を支える僧帽筋やその周辺の筋肉(肩甲挙筋・菱形筋群・板状筋・脊柱起立筋など)の
持続的な緊張によって、循環障害や筋肉の硬縮が起こる。
さらに、酸素や栄養分が末端まで届かず疲労物質が蓄積するという悪循環が生まれ、慢性的な肩のコリや痛みを発生させている。
自律神経や内臓の不調が関わる場合
自律神経や内臓の不調で、肩こりが発生する場合があります。
肝臓と右肩、胃や心臓と左肩は良く知られています。
食生活や睡眠の改善が必要なケースもあります。
施術例
- 関連する骨格の調整: 頚椎や上部胸椎の矯正。肩に関する関節、胸郭の動きをよくする施術など。
- 関連する筋肉の調整: 僧帽筋や肩甲挙筋、回旋鍵板(棘上筋や肩甲下筋など)など
- 関連する内臓の調整: 肝臓や胃腸、横隔膜、心膜など
- 自律神経の施療: 交感神経ブロックなどの施療、経絡施術など。
自宅で
肩甲骨体操など各種
肩こりの原因
- 肩甲骨に付く筋肉のうち、あるものは緊張して短くなり、あるものは弱くなって長くなってしまう
⇒肩の位置が前へ移動してしまう⇒肩コリ - 肩の位置が前方に移動することで、頭の位置も前へ突き出るようになる
⇒頭の重さを支えるために首から肩へかけての筋肉が慢性的に緊張し血行不良⇒肩こり - 肩甲骨の固定制低下、肩甲骨のアライメントに影響
短縮する筋肉:上部僧帽筋、肩甲挙筋、大胸筋、小胸筋
弛緩する筋肉:斜角筋群、胸鎖乳突筋、中下部僧帽筋、菱形筋、前鋸筋
- 一般には、四十肩、五十肩と呼ばれる。正式には、肩関節周囲炎。
- 関節の周りにある組織の変化や炎症などによって、肩に痛みが出る。
- 年齢とともに、腱板(棘上筋など)の炎症や部分的な断裂、あるいは肩峰下滑液包の炎症や癒着がおこりやすくなり、肩の痛みや動きの制限が発生する。
- 上腕二頭筋の腱に炎症がおこり、肩の痛みや動きの制限が現れることもある(上腕二頭筋長頭腱炎)。
症状
- 手を後ろに回せない(結帯動作)
- 腱板に石灰が沈着する石灰沈着性腱板炎では、何の前ぶれもなく肩に激痛がおこり、まったく腕を動かせなくなることもある。⇒X線で分る
- 閉経期の女性: 肝臓におけるエストロゲン代謝が関与
- 糖尿病や透析患者では治りにくい
- 筋肉の硬縮や弱化: 使い痛みで関節内はマイナス電位に⇒カルシウムイオン(+)が集まる~石灰沈着
- 感覚受容器の間違った運動パターンを中枢神経が固定化するケースもある。
- 夜間痛は重度のことが多い~病院;ヒアルロン酸注射有効、ステロイドは腱板の変性を助長するおそれ
- 「転んで肩を打った」「重いものを持ち上げた」などのケースで、急に肩が痛み腕を上げられないのなら腱板断裂の可能性もある。⇒高齢の方の棘上筋はかなり薄い
手技でのアプローチ方法
- インピンジメントの施療を行う・・・各関節やローテータカフなどの筋肉に対して ※C4.5: 関節包の神経支配
- 肩関節のローリング: 上腕骨頭の変位~後方構造体の拘縮に対して
- 胸郭への施療: リブハンプなど
- 対角の股関節や腰椎1番のCMT
- 小胸筋や前鋸筋、上腕二頭筋に対して
- 手足に対して: 橈骨や距骨の変位に対して
- 烏口腕筋: 筋皮神経の絞扼、少海
- 烏口上腕靭帯などに対して
- 内臓の施療: 肝臓、胆のう、食道と噴門などへの傾聴
- 上腕を回内外させつつ、脳をだましながら腕の拳上: Ⅰa1bで抑制を掛ける
- クラニアル: 矢状縫合、後頭骨
- ART: 関節包(肩甲上腕関節包全上方部・後部・後外方部)
エクササイズ
- コッドマン体操
- 後方構成体のストレッチ
病院での治療
- 消炎鎮痛薬の内服
- 関節内にステロイド薬やヒアルロン酸ナトリウムの注射
- ホットパックや超短波などの温熱療法
- 運動療法
重症の場合
パンピング療法: 関節包に麻酔薬を注入して、少しずつ広げる
手術: 関節鏡を用いて、つっぱっている靱帯を切除
- 肩甲上神経(C5、C6)は肩甲切痕を通り肩甲窩に至る~肩鎖関節や肩関節のむくみで圧迫
- 肩甲骨の前外方変位で神経が伸長される
- 姿勢や肩関節炎などが原因になる
肩甲切痕症候群
~肩の極度の外転により上肩甲横靭帯に下の孔を通る肩甲上神経が圧迫される
~上肩甲横靭帯の骨化によることもある
症状
- 棘上筋・棘下筋の硬縮、委縮
- 肩関節周りでの非限局性の痛み
- 肩甲骨の動きで痛みが増悪
関与する筋肉
- 棘上筋・棘下筋、菱形筋、僧帽筋、前鋸筋、大・小胸筋
アプローチ方法
- 肩甲骨を正常の位置に戻し、神経の伸長を軽減させる
- 関係する筋肉に対して
- CMT: 下部胸椎の後方変位、下部頚椎の前方変位などに対して矯正
- 小胸筋の緊張、下部僧帽筋の弱化に対して